ハーモニーホールの弾き込み

 

ハーモニーホールのピアノの弾き込みを行ないました。

ピアノのアクション(音を出す装置)は、いつも動かしていないと調子が悪くなってしまい、音も変化してしまうので、定期的に演奏して動かす必要があります。

とくに今年はコロナの影響で、2月からコンサートの中止が続いたので、半年間全く演奏されることがありませんでした。

かわいそうなスタインウェイに触れてみると、ちょっと眠そうですが、だんだん本領発揮で味わいが出てきました。

弾き込みは4時間半2回で、合計9時間弾きました。

はじめはそんなに弾けるのかなと思いましたが、弾いているとすぐに時間が経ってしまいます。

バッハから始まり、モーツァルトとベートーヴェンのソナタを弾くと、ソナタは1曲30分ぐらいかかってしまいますから、すぐに2時間ぐらい経過してしまいます。

もっと他の曲を弾かなくてはと、ショパンやドビュッシーを弾きます。

細かい動きの状態を確認した後は、大音響も鳴らしてみましょうということで、バッハ=ブゾーニの「シャコンヌ」や「展覧会の絵」を弾いてみると、スタインウェイのすばらしい能力全開で重厚な音色がホール全体に響き渡り、ステージの床も振動しています。

強大な音量や実際の振動から、豊かな倍音に包まれると、呆然とするほどの感動に襲われます。自演で感動するのですから、お手軽なものです。

世の有名ピアニストたちも、絶対に自分の演奏に感動していると思います!

 

超絶に難しい曲や、激しく盛り上がる曲もいいですが、私が好きな曲は天上的な響きがする曲。

バッハで宇宙へ旅し、モーツァルトで天空を飛びます。

バッハの曲は全て好きですが、この頃のお気に入りはカンタータ「羊は安らかに草を食み」で、今年90代で亡くなったレオン・フィッシャーの演奏は最高でした。

バッハは「平均律」から「ゴールドベルク変奏曲」や「フーガの技法」まで毎日必ずどれかを弾いています。バッハを弾かないと、何か落ち着かない感じがします。

モーツァルトの音楽は、やはり地上よりも浮いたところにあります。ソナタは全曲弾いたことがありますが、とくに好きなのはソナタ5番の3楽章の第11変奏で、まさに天の調べです。

ベートーヴェンの「ワルトシュタイン」の最後のコーダも好きです。この天上の音楽に到達するために、1楽章から延々と弾くというのが良いのですね。

ショパンの「舟歌」の最後も飛びます。

ラヴェルの「鐘の鳴る谷」も天使の風が吹き渡るようですね。

あと最近弾いていたのは、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」のピアノソロ版や、ラヴェルのト長調のコンチェルトの2楽章など。

今は、昔コンサートで弾いたことのあるシューマンの「謝肉祭」を弾いてみたりしています。35ページぐらいありますが、昔は長いとも思わなかったし、暗譜するのも簡単でしたから、若いってことはすごいなあと思います。

 

とにかく名曲は山のようにありますし、弾いても弾いてもまだ弾いていない曲があります。

これほどの人類の遺産を作ってくれた作曲家たちに感謝です!!

こうやって音楽に浸れる環境をありがたく思います!

 

 

2020年11月08日